住む人が快適な介護空間を作るために

 2016年現在、日本は65歳以上の高齢者数が総人口の約4分の1以上にあたる「超高齢社会」になっています。年齢を重ねると共に、身体に衰えが生じるのは仕方のない事ではないでしょうか。その為、高齢者の家庭内での転倒等の事故が増えています。  近年ではバリアフリーを意識した住宅が増えてきています。しかし、昔ながらの住宅には不要な段差があったり、必要な手すりが付いていなかったり等の事故の原因になる可能性が多くあります。その為、バリアフリー住宅へ転居したり、高齢者施設へ入居したりする方もいらっしゃいます。  多くの人が住み慣れた場所にずっといたいと考えるものではないでしょうか。高齢者、特に介護が必要な方が安心して住み続ける為にリフォームを検討される方は多いと思います。もちろんリフォームにはお金がかかりますが、その負担を少しでも軽減するための方法として介護保険の住宅改修費を支給する制度があります。

1. 住宅改修費の支給制度とは?

 そもそも、住宅改修費の支給制度とはどのような制度なのでしょうか。これは要介護や要支援の認定を受けた人が、法令で定められた内容の住宅改修を行う際に、市役所等で事前に手続きを行う事により、改修費用の8割もしくは9割が介護保険から支給される制度になります。では細かい条件を見ていきましょう。

1-1.対象者

 介護保険の要介護(1~5)または要支援(1・2)認定を受けた、自宅で生活をされている方が対象となります。要介護(要支援)認定申請中の方も、事前申請をして改修工事を行うことは出来ますが、支給は認定後になります。認定結果が非該当の場合は支給されません。また、病院や施設等に入院・入所されている方が改修を行った場合は原則的に支給対象外となります。しかし退院や退所で自宅に戻る為の下準備として改修を行った場合は、入院・入所中でも支給対象となります。ただし、自宅に戻れなくなった場合は支給対象外となります。

1-2. 支給額

 利用限度額は1人当たり20万円が上限となっております。しかし、全ての人に対して全額が支給される訳ではなく、工事費の1割もしくは2割は利用者負担となります。例え工事費が20万円でも、20万円を丸々受給することは出来ません。つまり、実際に支給される最大の額は18万円、もしくは16万円ということになります。この利用者負担額は利用者の所得によって変わりますので、利用者がどちらに当てはまるのかをきちんと確認しましょう。
 また、上限の20万円に関して、一度に使う必要はなく数回に分けて利用する事が可能です。分かりやすく例を挙げて説明します。(例では支給額9割、利用者負担1割とします。)
 対象工事費が25万円の場合・・・25万円の9割は22万5千円ですが、上限の20万円を超えてしまいます。支給額は、定められた上限20万円分の9割で18万円になります。利用者負担額は、【支給額の利用者負担分1割】の2万円+【20万円を超えた額】になりますので、7万円になります。
 対象工事が15万円の場合・・・15万円の内9割の13万5千円が支給額となり、残りの1割の1万5千円が利用者負担額になります。利用されなかった残りの6万5千円は、次回利用することが出来ます。

1-3. 対象工事

 住宅改修費の対象となる工事は、下記の通り全部で6つあります。

①手すりの取付け
②段差の解消
③滑りの防止と移動の円滑化などのための床又は通路面の材料の変更
④引き戸などへの扉の取替
⑤洋式便器などへの便器の取替
⑥その他①~⑤の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

 それぞれの工事を分かりやすく表にまとめてみました。

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<実際の施工例>

介護介護

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2.手続きの流れ

 では実際に住宅改修費が支給されるには、どのような手続きが必要なのでしょうか。廿日市市での申請手続きを例にとって見てみましょう。
 まず大前提として、やむを得ない事情がある場合を除いて申請は事前に行わなければいけません。この「やむを得ない事情がある場合」とは、入院または入所者等が退院、退所、または転居後に在宅での生活を行う為にあらかじめ住宅改修に着工する必要がある場合等になります。住宅改修を行おうとする際、事前に申請を行う事が制度上困難な場合を想定しているものです。
 住宅改修を希望される要介護、要支援認定者、ご家族が事前に居宅介護支援事業所、または地域包括支援センターに相談します。その後【利用者及びその家族等】【改修施工業者】【居宅介護支援事業所または地域包括支援センター】の三者が連絡を取り合い、事前申請に必要な書類を揃えて廿日市市役所(各支所)に事前申請を行います。事前申請は【利用者及びその家族等】の他、【居宅介護支援事業所または地域包括支援センター】や【改修施工業者】が代行する事が出来ます。

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 事前申請に必要な書類は以下になります。
・介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費支給申請書
・介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修が必要な理由書
(理由書を作成できるのは、介護支援専門員(ケアマネージャー)、地域包括支援センター職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級以上取得者、増改築相談員です)
・工事費見積書
・介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修完成予定の状態を確認する書類
(改修予定箇所を撮影した写真等、完成予定の状態を確認できるものです。写真の場合、写真の中に完成後の手すりやスロープ等を手書き等で図示記載する必要があります。また取付けようとしている手すりやスロープ等の現物の写真と、当該商品が掲載されているカタログの写しも必要です。大規模改修で写真に図示記載が難しい場合は、完成予定の図面等を写真代わりにする事できます。しかし本申請時には改修前の写真が必要になるので、改修前の写真は必ず撮影しておいてください。)
・(市営又は県営住宅の場合のみ)市又は県が交付した住宅改修承諾書
(市営住宅の場合は廿日市市役所住宅営繕課、県営住宅の場合は広島地域事務所建設課へ相談して下さい。)

 事前申請を受け付けた市役所(各支所)は、提出された書類から当該改修が住宅改修費支給対象として適当かどうかを確認します。その後、理由書作成者へ電話で確認結果を連絡すると共に、利用者本人へ文書で確認結果を通知します。確認の結果、住宅改修費支給対象として適当であると認められた後での改修施工となります。改修完了後、利用者は改修施工業者に費用を支払います。改修施工業者は領収書と工事費内訳書を交付します。

 続いて市役所(各支所)に本申請を行います。本申請も事前申請と同様【改修施工業者】や【居宅介護支援事業所または地域包括支援センター】代行する事が出来ます。
 本申請に必要な書類は以下になります。
・住宅改修に要した費用に関わる領収書
・工事費内訳書
(工事見積書と金額等が変わらなければ省略できます。)
・介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修完成後の状態を確認する書類
(改修を実施した箇所ごとに、改修前後の写真を同じアングルから撮って下さい。その際、原則として撮影日付が必要です。)

 本申請を受け付けた市役所(各支所)は、提出された本申請書類と事前申請書類を照らし合わせます。そして、住宅改修費支給対象として適当な住宅改修が実際に行われ、費用がきちんと支払われているかどうかを確認します。確認の結果支給が適当であると認められた場合は、利用者に対して支給決定を文書で通知されます。その後、あらかじめ使用者が指定した金融機関の口座へ住宅改修費が振り込まれます。

3.まとめ

 多くの方たちが自身の家に長く住み続け、近隣の方々との交流を続けていきたいと思っているのではないでしょうか。「住み慣れた場所にずっといたい」と思うことは、ごく自然な事です。介護される側が安心して暮らせる家は、介護する側にとっても安心して介護ができる空間になるとは思いませんか?「超高齢社会」の中で介護する側とされる側、双方が快適に過ごせる空間を作る事によって、より一層良い住生活を送る事が出来るようになるのではないでしょうか。
 『株式会社 正光技建』には福祉住環境コーディネーターの資格所持者が複数在籍しております。その為、上記制度を利用したリフォームに関して多数の実績があります。リフォームをしようか悩んでいる方、ご自宅に不便な箇所があり困っている方等、是非とも私達『正光技建』へお気軽にご相談ください。有資格者によって丁寧にご対応させて頂きます。